内分泌

HbA1cのピットフォール

脾臓摘出後の患者でHbA1c偽高値の方がいたので復習。

赤血球の寿命は約120日とされますが、その寿命が短くなると偽低値、長くなると偽高値となります。
機序が不明な原因もいくつかあります。

偽高値の原因

鉄欠乏性貧血、VitB12欠乏、葉酸欠乏、無脾症、高中性脂肪血症(>1750mg/dL)、高ビリルビン血症(>20mg/dL)、尿毒症、鉛中毒、慢性アルコール摂取、サリチル酸、オピオイド

偽低値の原因

急性・慢性出血、溶血性貧血、脾腫腎性貧血、妊娠、ビタミンE (*600-1200mg/dayは蛋白の糖化を減らす)、リバビリン・IFNα(*溶血を起こす)

偽低値・偽高値もとりうる原因
 輸血後、ヘモグロビン異常症、ビタミンC

偽低値・偽高値を見破るためにはHbA1cと血糖値の関係、他の検査の使用が重要となってきます。
 空腹時血糖 ÷ 20 ≒ HbA1と教わりましたが、だいたいの目安として使えます。
 下の表は推定平均血糖とA1cの関係を示しています。

HbA1c以外の検査としてはグリコアルブミン、1,5-AGがあります。
グリコアルブミンはだいたいHbA1c ÷ 3程度です。過去2-3週間の平均血糖を反映する。
 ネフローゼ症候群などアルブミンの寿命が減る場合は偽性低値となります。

〈参考文献〉
Radin MS. Pitfalls in hemoglobin A1c measurement: when results may be misleading. J Gen Intern Med. 2014;29:388-94. PMID: 24002631.

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guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。