内分泌

免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病

〈概念〉
免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連事象として1型糖尿病がある。
その頻度は1%以下と稀。
抗CTLA-4抗体よりも抗PD-1抗体による場合が多い。
 ニボルマブ2.0%(95% CI,0.7-5.8%)、ペンブロリズマブ0.4%(95% CI,0.2-1.3%)、アテゾリズマブ1.4%(95% CI,0.2-9.4%)というメタアナリシスの報告がある。
本邦からの報告ではPD-1抗体投与から発症までの平均期間は155日±123日(13-504日)


22例のニボルマブ関連1型糖尿病をまとめた本邦の報告では、50%が劇症1型糖尿病の診断基準を満たし、50%が急性発症1型糖尿病の診断基準を満たした。

劇症1型糖尿病の診断基準(①〜③をすべて満たす場合)
 ①高血糖症状出現から7日以内に糖尿病ケトーシス、ケトアシドーシスを発症
 ②初診時の血糖値≧288mg/dlでHbA1c<8.7%
 ③尿中Cペプチド排泄<10μg/day、または空腹時血中Cペプチド<0.3ng/mLかつグルカゴン投与後<0.5ng/ml

irAEではない高齢発症劇症1型糖尿病と比べると、口渇は85%と同じように多かったが、インフルエンザ様症状28%と腹痛32%は少なかった。
DKAが39%ケトーシスが85%に認められた。
血糖値は617±248mg/dL、HbA1c8.1±1.3%であり高齢発症劇症1型糖尿病よりは血糖値がやや低く、A1cも高い傾向であった。=劇症1型糖尿病よりもやや経過がmildな可能性がある。
血液検査で膵酵素の上昇は52.6%に認められた。
自己抗体が陽性だった患者は1人だけだった。(抗GAD抗体)。
 *欧米の研究では約半数がGAD抗体陽性という報告がありHLAなど遺伝的背景の違いがあるとされる。

Cペプチドは発症後早期に枯渇していくことが多い。なかにはわずかに改善する症例もいる。

治療は基本的にインスリンの導入となる。
ステロイドは糖尿病発症の時点で膵臓のβ細胞はほとんど破壊されていると考えられるので、効果はなく、むしろ高血糖を助長させてしますので使用しない。
糖尿病・DKAのコントロールがつけば、免疫チェックポイント阻害薬は再開可能である。

1型糖尿病を免疫関連事象として発症した場合に悪性腫瘍の予後が良いかどうかは症例数が少ないため、まだはっきりとしたデータはない。

〈参考文献〉
Baden MY. Characteristics and clinical course of type 1 diabetes mellitus related to anti-programmed cell death-1 therapy. Diabetol Int. 2018;10:58-66. PMID: 30800564.
de Filette J. A Systematic Review and Meta-Analysis of Endocrine-Related Adverse Events Associated with Immune Checkpoint Inhibitors. Horm Metab Res. 2019;51:145-156. PMID: 30861560.
Zheng Z. Diabetes mellitus induced by immune checkpoint inhibitors. Diabetes Metab Res Rev. 2021;37:e3366. PMID: 32543027.

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総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。