中年男性が体幹の淡い褐色の丘疹と左胸鎖関節痛を主訴に受診.
その後,急性単球性白血病と診断したので勉強.
〈概念〉
白血病の皮膚病変の総称
白血病の診断がついた後に皮膚病変が出現する場合が多いが、1/3以下のケースでは同時に出現する。
10%以下のケースでは皮膚病変が先行して、その後に骨髄や末梢血に芽球がみられる。AMLに比較的多い。
90%の患者が他の髄外病変を合併しており,髄膜浸潤が40%と多い
〈症状〉
紅斑様丘疹・結節が多い
部位は下肢が最も多い。次に上肢・背部・胸部・頭皮・顔面
過去に炎症があった部位に腫瘍細胞は浸潤しやすい(帯状疱疹の痕など)

〈原因〉
骨髄・単球系
急性骨髄性白血病AML 10-15%
急性骨髄単球性白血病AMMoL -50%
急性単球性白血病AMoL -50%
慢性骨髄性白血病CML
慢性骨髄単急性白血病CMMoL
骨髄異形成症候群MDS
リンパ増殖性疾患
B細胞系白血病・リンパ腫
前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病B-PLL
慢性リンパ急性白血病CLL 4-20%
小リンパ球性リンパ腫SLL 4-20%
T細胞系白血病・リンパ腫
前駆T細胞性急性リンパ芽球性白血病T-PLL 25-30%
成人T細胞白血病 ATL 43-72%
T細胞前リンパ球性白血病T-PLL
セザリー症候群SS
本症例のように単球系白血病とT細胞系の白血病にみられることが多いです.
CML・MDSのような慢性経過の疾患にみれれた場合は白血病への急性転化を考えます.
〈診断〉
皮膚生検を行い、細胞性免疫所見と合わせて鑑別していく.


〈予後〉
Leukemia cutisは白血病において予後不良因子
1年以内に88%が亡くなったという報告もある
まとめ
- 白血病の髄外病変として皮膚浸潤は稀だが重要
- 単急系・T細胞系の白血病に多い.AMLでは皮膚病変が稀だが先行することがある
- Leukemia cutisの予後は不良
参考文献
・Cho-Vega JH. Leukemia cutis. Am J Clin Pathol. 2008 Jan;129(1):130-42. PMID: 18089498.
・Wagner G. Leukemia cutis – epidemiology, clinical presentation, and differential diagnoses. J Dtsch Dermatol Ges. 2012 Jan;10(1):27-36. PMID: 22115500.
・Kang YS. Clinical characteristics of 75 patients with leukemia cutis. J Korean Med Sci. 2013 Apr;28(4):614-9. PMID: 23579733.




