ポイント
60歳以上の患者への厳格な降圧療法において500人に1人のMACEを防ぐには9.1ヶ月、200人に1人では19.1ヶ月、100人に1人では34.4ヶ月を要する。よって予後が3年以上の患者では積極的な降圧療法を考慮し、予後が1年未満であれば厳格な降圧は不適切と考える。
厳格な降圧療法は全年齢で心血管イベント(MACE)を減らすことが証明されている。このメリットを得るにはある程度の治療期間(Time to Benefit, TTB)を要するが、降圧療法のデメリット(AKI、低血圧、失神、電解質異常)は治療開始後早期に起こりうる。今回60歳以上の高血圧患者に対する厳格な降圧療法のTTBの検討が行われた。
ポイント
60歳以上の患者への厳格な降圧療法において500人に1人のMACEを防ぐには9.1ヶ月、200人に1人では19.1ヶ月、100人に1人では34.4ヶ月を要する。予後が3年以上の患者では積極的な降圧療法を考慮し、予後が1年未満であれば厳格な降圧は不適切と考える。
〈参考文献〉
Time to Clinical Benefit of Intensive Blood Pressure Lowering in Patients 60 Years and Older With Hypertension: A Secondary Analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA Intern Med. 2022;182:660-667. PMID: 35532917.