バセドウ病の診断ガイドライン
a)臨床所見
1.頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
2.びまん性甲状腺腫大
3.眼球突出または特有の眼症状
b)検査所見
1.遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
2.TSH低値(0.1µU/ml以下)
3.抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性、または甲状腺刺激抗体(TSAb)陽性
4.典型例では放射性ヨウ素(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
1)バセドウ病
a)の1つ以上に加えて、b)の4つを有するもの
2)確からしいバセドウ病
a)の1つ以上に加えて、b)の1、2、3を有するもの
3)バセドウ病の疑い
a)の1つ以上に加えて、b)の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3ヶ月以上続くもの
付記
1. コレステロール低値、アルカリホスファターゼ高値を示すことが多い。
2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある。
3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが基準範囲内の例はeuthyroid Graves’ diseaseまたはeuthyroid ophthalmopathyといわれる。
4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする。
5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める。
6. 遊離T3(pg/ml)/遊離T4(ng/dl)比の高値は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる。
7. 甲状腺血流増加・尿中ヨウ素の低下が無痛性甲状腺炎との鑑別に有用である