内分泌

甲状腺機能低下症・橋本病の診断ガイドライン

甲状腺機能低下症の診断ガイドライン

原発性甲状腺機能低下症
a) 臨床所見
 無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状
b) 検査所見
 遊離T4低値(参考として遊離T3低値)およびTSH高値

原発性甲状腺機能低下症
a)およびb)を有するもの

【付記】
1. 慢性甲状腺炎(橋本病)が原因の場合、抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性となる。
2. 阻害型抗TSH-R抗体により本症が発生することがある
3. コレステロール高値クレアチンキナーゼ高値を示すことが多い。
4. 出産後やヨウ素摂取過多などの場合は一過性甲状腺機能低下症の可能性が高い。
5. 小児では成長障害や甲状腺腫を認める。

中枢性甲状腺機能低下症
a) 臨床所見
無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、 便秘、嗄声等いずれかの症状
b) 検査所見
遊離T4低値でTSHが低値~基準範囲内

中枢性甲状腺機能低下症
a)およびb)を有するもの

除外規定
 甲状腺中毒症の回復期重症疾患合併例TSHを低下させる薬剤の服用例を除く。

【付記】
1. 特に中枢性甲状腺機能低下症の診断では下垂体ホルモン分泌刺激試験や画像検査が必要なので、専門医への紹介が望ましい。
2. 視床下部性甲状腺機能低下症の一部ではTSH値が10µU/ml位まで逆に高値を示すことがある。
3. 重症消耗性疾患にともなうNonthyroidal illness(低T3症候群)で、遊離T3、さらに遊離T4、さらに重症ではTSHも低値となり鑑別を要する

慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン

a) 臨床所見
1. びまん性甲状腺腫大 (萎縮の場合もある)
 但しバセドウ病など他の原因が認められないもの

b) 検査所見
1. 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)陽性
2. 抗サイログロブリン抗体陽性
3. 細胞診でリンパ球浸潤を認める

慢性甲状腺炎(橋本病)
a)およびb)の1つ以上を有するもの

【付記】
1. 阻害型抗TSH-R抗体などにより萎縮性になることがある
2. 他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする
3. 甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性の場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
4. 自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える。
5. 甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均質を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い

甲状腺疾患診断ガイドライン2021

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guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。